表紙
英語タイトル
Joy of Medical Writing
日本語タイトル
医学英語論文の賢い書き方
発行年
1999年最新版発行
著者
要約
米国で生まれ育ち,医師免許を取得した後に来日し,日本人の医学英語論文の添削を多数行っている著者が,日本人の弱点ともいえる「英語の発想に則した論理の組み立て方」を,特にIntroductionとDiscussionに的を絞って具体的に解説。書くべきことを,どのような順番でどのような内容で書けばよいか,逆に書いてはいけないのはどのようなことか,また論文全体に統一感をもたせるにはどうすればよいかなど,懇切丁寧に指南。
目次
第1章 形態は機能に従う(生物医学研究論文の構造と機能)
研究論文にふさわしい形態とは
論文を一続きの物語として考えよう
第2章 段落の基本的な構造とは
段落の適切な長さとは
論文の中身は段落単位で把握される
段落を構成する「トピック文」と「コンテント文」
段落で最も重要なのはトピック文
トピック文のない段落はラベルのついてないビンのようなもの
第3章 段落をどう組み立てるか
コンテント文の配列法
年代順に配列する/トピック文の記述順に配列する/重要性の順に配列する/賛否両論を併記する
締めくくりの文で要約・再確認する
第4章 段落をどうつなげるか
段落どうしに関連性をもたせるための2つの方法
オーバービュー法/ステップバイステップ法
第5章 Introductionの4つの要素とは
Introductionは帰納的に書く
わかっていることを示す/わかっていないことを示す/疑問点を示す/実験方法を示す
Introductionを書くときの注意点
第6章 なんのためにDiscussionを書くのか
問題に答える
解答を裏づける
解答を説明する
解答の弁論をする
その他のDiscussionの機能
第7章 Discussionをどう書き出すか
解答はDiscussionの第一文に示す
解答は問題と同じキーワード,キーフレーズを用いて述べる
問題に忠実な解答を書く
唐突なDiscussionの書き出しを避ける
Discussionを書くときの注意点
第8章 解答をどう裏づけるか
裏づけのない解答は「意見」にすぎない
実験データに意味を与えて「結果」にする
解答を裏づける結果の示し方
第9章 解答をどう説明するか
他の研究との比較により自分の研究を評価する
「研究の新しさと重要性」を確立するには
第10章 解答の弁論をどうするか I
問題点を避けたり隠したりしない
反対意見を攻撃するだけでは不十分
反対意見に対する弁論も重要性の順に行う
第11章 解答の弁論をどうするか II
問題となりそうな点に対処する
予期しなかった結果について説明する
残った問題点をどのようにして見つけだすか
第12章 Discussionをどう締めくくるか
Discussionには適切な締めくくりが必要だ
「終り」は単純・平易に
付け加えるとすれば「応用」,「含意」,「推論」
第13章 略語をどう用いるか
なんでも略語にしてよいわけではない
略語使用のルール
少なくとも3回以上使う語句を略語にする/抄録と本文は分けて考える/文頭の語句はスペルアウトする/不定冠詞は略語の発音で決まる
略語にしてよい語句を確認するには
第14章 数字をどう表記するか
数字表記の基本となる6つの規則
数字表記の具体例
第15章 米国人医師のように書くべきか
科学英語に「ネイティブ・スピーカー」は存在しない
論文をわかりにくくするjargon
簡潔・明確な表現を心がける
優れた文章の書き方を学ぶには
ページ数
157ページ
本の言語
日本語
ターゲット層
医学生
教授
原稿の種類
アブストラクト
ジャーナル論文
学術分野
医学英語
出版社
読者によるレビュー
研究者によるレビュー
日本人研究者が英語の論文を書くときに、一番困るのが、IntroductionとDiscussion。この本はIntroductionとDiscussionで何を書くべきかがかなり詳細に述べられた1冊です。はじめて英語論文を書く人より、何報か書いた人が読むと新たな発見があると思います。「日本人は帰納的な文章構成が好きだが、欧米人は演繹的な文章構成を好むので、すべてのパラグラフはトピック文で初めて演繹的に書くべき。ただし、Introductionだけは例外で帰納的に書くべき」という指摘に私は目から鱗が落ちました。ちなみに、「数字をどう表記するか」(どのようなとき数字をアラビア文字で書き、どのようなときスペルアウトするか)も一度目を通しておく価値があります。ちなみに、Lancetは一般則に反して、文頭でもアラビア数字+計量単位で書くというのは意外でした。
Amazonユーザーのレビュー
この本は、米国で生まれ育ち、米国の医学部を卒業した後、医学編集者として働いているMasao Okazaki氏により執筆され、その父であり、長年米国で働かれた岡崎春雄氏(Mayo Clinic名誉教授、神経病理・病理解剖学)によって訳されたものです。特にIntroductionとDiscussionに重点を置き、段落をどう組み立て、どうつなげるかなどについて、非常にわかりやすく解説されています。それも、「Okazaki's disease」という架空の疾患に関する論文を組み立てていくといった流れになっており、読み物としても大変興味をそそられます。しかも難しい英単語もほとんど使用されていないため、辞書なしで読み進められ、読書の速い人なら2から3日で一通り読むことができます。読み終わって感動を覚えました。
Amazonユーザーのレビュー
医学英語論文を書きなれた人にとっても非常にためになる本。初心者にもわかり易い。これから論文を書こうとする全ての人に読んで欲しい一冊。
Amazonでの評価
星5つ中の4.6
Amazonでのレビュー数
3レビュー
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